がん地域連携室

がん地域連携室

石岡 千加史 教授
室長 石田 孝宣  

   東北大学病院では、東北地方の各病院と連携して、がん患者さんやそのご家族を支援する取り組みに力を入れています。その1つの部門として活動しているのが、がん地域連携室です。宮城県内におけるがん診療連携の円滑な実施を図るとともに、質の高いがん医療の提供体制を確立することを目的として厚生労働省の「がん診療連携拠点病院」の指定を受けた県内病院により組織された宮城県がん診療協議会地域連携部会にも参加し、地域連携事業を推進しています。

   活動の中心は、【がん地域連携クリティカルパス】と【MMWIN】の推進です。がん地域連携クリティカルパスは、がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画、及び診療連携拠点病院の指定要件の見直しに伴い、国の対策で5大がんの地域連携パス整備が求められたことを機に、2014年に本格スタートしました。具体的には、がんの手術を行った患者さんの経過観察を、がん拠点病院とかかりつけ医とが「共同診療計画書」に沿って診療を協力して行い、長期間続けていくことを目指して導入されたシステムです。当院では、前立腺がん、乳がん、胃がん、大腸がんにおいて運用されています。幅広く活用していただくために、連携医療機関とのより良い関係構築を目指して、前立腺がんにおいて「連携パス通信」を開始するなど、運用の拡大に努めております。今後も連携医療機関と密に情報交換を行い、患者さんやご家族が安心して長期的な経過観察を受けられるよう対応していきたいと考えております。

   もう1つ力を入れているのが、MMWINの普及です。上記のがん拠点病院とかかりつけ医とが「共同診療計画書」に沿って診療を協力するにあたって、双方がMMWINに加入している状況であれば、MMWINに記録を残すことで経過を一元的に管理でき、病院間で画像や診療情報を共有できるようになる次世代のツールです。こうしたネットワーク事業を普及させることによって、紹介状等を省略でき、短時間で幅広い医療情報の交換が可能となります。
   がん地域連携室では、東北大学病院メディカルITセンターと協力しながら、宮城県や他の医療機関と連携して、こうした事業を推進して行きたいと考えております。皆様のご理解とお力添えをどうぞ宜しくお願い申し上げます。