がんセンター概要

東北大学病院がんセンターの組織と事業

都道府県がん診療連携拠点病院の指定取得まで

 2006年2月、厚生労働省が定めるがん拠点病-院の枠組みは大きく変わりました。従来の「地域がん診療拠点病院」から「がん診療連携拠点病院」に名称も変更され、特定機能病院(大学病院)が初めてがん拠点病院に申請できるようになりました。また、昨年6月には通常国会で「がん対策基本法」案が通過し、今年4月からいよいよ施行されます。2004年にスタートした第3次対がん10ヵ年計画と併せて、わが国におけるがん対策はいよいよ本格化しています。このような背景から、本院では里見進病院長の指揮下で都道府県がん診療連携拠点病院の指定獲得に向けていち早く準備を開始しました。その後、宮城県、宮城県立がんセンターと意見調整を行い、昨年8月、第1回の「都道府県がん診療連携拠点病院」に指定されました(図1)。なお、8月の指定病院数は都道府県がん診療連携拠点病院としては本院を含め16病院(うち大学病院は9病院、旧7帝大系は本院のみ)でした。

図1 都道府県がん診療連携拠点病院の指定

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がん診療連携拠点病院指定書

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都道府県がん診療連携拠点病院としての役割

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 がん拠点病院の枠組みが変化したことにより、がん診療連携拠点病院の指定要件はこれまでよりかなり厳格になりました。 院内の各種がん診療体制はもとより、放射線治療体制、化学療法施設、緩和ケアチームの整備と専門医療職(医師、看護師、薬剤師、技師、診療録管理士、臨床心理士、MSWなど)の配置が求められているほか、地域に対して、(1)研修事業、(2)ネットワーク事業、(3)院内がん登録事業、(4)がん相談支援事業および(5)普及啓発・情報提供事業が求められています。さらに本院が指定を受けた都道府県がん診療連携拠点病院の場合は、地域のがん診療連携拠点病院(宮城県は5病院)に対して研修や診療支援が求められています。宮城県では、県、宮城県立がんセンターと本院間で協議し1県2都道府県がん診療連携拠点病院(本院と宮城県立がんセンター)で申請し、全国初の試みとしてこの「ダブルトップ方式」が認められました。
本院では県内の他の拠点病院と協力して、宮城県のがん医療の向上に努めてまいります。

がんセンターの組織と今後の事業

表1.がんセンターの平成24年度事業予定

平成24年4月 東北がんプロフェッショナル養成推進プラン
開始
平成24年4月 先進包括的がん医療推進室開設
平成24年5月 がんセンターHP改訂
通年 がん診療相談事業とミニ講座
通年 院内がん登録と登録取得コース
通年 がん薬物療法2日間研修
通年(毎月1回) 化学療法カンファレンス開催
通年(毎月1回) がんセミナーの開催
通年(年4回) 臨床病理カンファレンス
2日間(年1回) 宮城県緩和医療研修(東北大学担当分)

この他に診療、研究、教育、がん登録、支援・広報の5部会の活動をそれぞれ継続。 都道府県がん診療連携拠点病院には、拠点病院としての院内機能の整備と、研修や人材交流を通じた 他の拠点病院に対する指導力が求められています。これらの活動は 「東北がんプロフェッショナル養成推進プラン」と連携して行われます。

 当がんセンターは平成19年に設立され、当時の山田センター長(放射線治療科、現東北大学名誉教授)により体制の整備が開始され、2代目の大内憲明教授(乳腺外科、現東北大学大学院医学系研究科長)に引き継がれ、平成24年より現在の石岡千加史センター長(腫瘍内科)の下で図のような組織となっています(図3 東北大学病院 がんセンターの組織図 )
 当センターは開設当初から、院内がん登録の体制強化、緩和ケアチームの整備、がん薬物療法の標準化、がん相談、地域医療連携、などのテーマに積極的に取り組んできました。
 院内がん登録についてはメディカルITセンターによる院内がん登録システムが完成し、院内がん登録室(辻 一郎室長)の管理下で登録が行われています。平成22年度は3,273名が登録されました。また、がん登録に関しての登録業務習得コースは平成21年5月以降毎月開催されています。
 また、がん診療相談室(森 隆弘室長)の体制が強化され、現在、室長の下に相談員(看護師)3名が対応に当たっています。平成23年度には総数1,083件の相談が直接訪問または電話にて寄せられました。特に平成23年度にがんサロン「ゆい」を開設したことから、直接相談に訪れる患者・家族が増加しています。室長も先進医療(がん臨床研究)の一部についてメールでの相談に対応しています(平成21年11月から平成23年12月までに173件のメール相談)。また、当がん診療相談室の特徴として、相談者が北海道から沖縄と全国から寄せられていることと、がんの先進医療についての相談も多く見受けられています。専門的診療相談についてはセカンド・オピニオン外来を利用した対応が行われています。
 また、一般病床での緩和医療の向上のため緩和ケアチーム(中保利通緩和医療科長がリーダー)がやはり平成19年に結成されました。チームの構成は緩和医療科(身体ケア担当、専従医)、精神科(精神ケア担当)、がんセンター医師(がん診療相談室長)、看護師(専従1名)、栄養管理士、MSW、薬剤師により構成されています。現在、毎週1回のメンバー全員での回診と専従医による随時の回診が行われています。平成23年(1月〜12月)の1年間には23診療科から72名の患者さんへの要請があり、のべ102回のチーム往診を行いました。
 また、県のがん診療拠点病院としての活動も行っています。宮城県がん診療連携拠点病院協議会が平成19年より開催されており、化学療法研修は本院、放射線治療と緩和医療は宮城県立がんセンターが担当することになりました。化学療法センターは、平成18年10月から東病棟4階に移設30床に拡張され、現在、化学療法の件数は毎月延べ800人を超えています。このような本院の化学療法センター機能を生かして、今年度の化学療法研修事業およびがん拠点事業として他病院を対象にした「がん薬物療法研修」を行ってきました。当初は宮城県内を想定しておりましたが、東北地方一円から参加希望がありました。これまで東北地方一円から、のべ48病院148名の参加がありました。評価も高く、今年度も継続して行う予定です。
 また、がん拠点事業と関連して、平成19年度より、「専門分野(がん)における質の高い看護師育成研修」(看護部担当)、厚生労働省事業として、「がん専門薬剤師養成コース」(薬剤部担当)がスタートしています。
 このように、国はがん拠点事業によりわが国のがん診療のボトムアップを推進しており、今後は、各施設のデータをがん登録だけでなく診療実績・治療成績の開示が求められ、当センターでは支援・広報部を中心に対応してきました。また、がん診療体制の整備は、文部科学省および厚生労働省の他の事業(がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン、トランスレーショナル・リサーチや治験の中核・拠点化)の獲得・整備と関連すると考えられます。今年度も石岡センター長を中心に4大学(東北大学、山形大学、福島県立医大、新潟大学)共同で申請した「東北がんプロフェッショナル養成推進プラン」が採択されました。これは東北大学病院がんセンターが日本のがん医療のなかで果たしてきた役割が評価された結果でもありますが、今後も日本のがん医療の進歩に貢献することが求められています。今まで以上に、各部門、各診療科、そして「東北がんプロフェッショナル養成推進プラン」が有機的に連携してがんセンターを運営していく必要があります。どうぞ宜しくお願いいたします。

東北大学病院がんセンター組織図
 

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