治療内容

癌化学療法名:乳癌 アテゾリズマブ+nabパクリタキセル併用療法

プロトコールに関する解説:

乳癌アテゾリズマブ+nabパクリタキセル併用療法は、PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌に対する化学療法として、アテゾリズマブ840mgを隔週、nabパクリタキセル100mg/m2を3週投与1週休薬で投与する治療法である。
 国際共同第Ⅲ相試験(Impassion130試験)において、全身薬物療法が行われていない切除不能な局所進行または転移性トリプルネガティブ乳癌の患者を対象に、テセントリク+nabパクリタキセル群と、プラセボ+nabパクリタキセル群が比較された。PFS中央値は、ITT解析で7.2ヶ月と5.5ヶ月(HR 0.80、95%CI 0.69-0.92、p=0.002)、PD-L1陽性では7.5ヶ月と5.0ヶ月(HR 0.62、95%CI 0.49-0.78、p<0.001)であった。第2回中間解析におけるOS中央値は、ITT解析で21.0ヶ月と18.7ヶ月(HR 0.86、95%CI 0.72-1.02、p=0.078)、PD-L1陽性では25.0ヶ月と18.0ヶ月(HR 0.71、95%CI 0.54-0.93)であった(このPD-L1陽性のOSは検証的な位置づけとされていない)。投与中止にいたった有害事象は、15.9%と8.2%であった。免疫関連のGrade3/4の有害事象は、7.5%と4.3%であった。
 アテゾリズマブの使用にあたっては、コンパニオン診断薬である抗PD-L1ウサギモノクローナル抗体を用いて腫瘍浸潤免疫細胞(IC)のPD-L1の発現状況を検査する必要があり、IHC法によるスコア化でIC1/2/3の場合(PD-L1発現1%以上)をPD-L1陽性と判定する。(2020.4.22)


適応外使用 : 無
審査日(2019 11 25日)
申 請 日  : 2019 10 11
改 定 日  : 20-- -- --
登録確認日 : 20-- -- --
登録削除日 : 20-- -- --
診療科1 総合外科
診療科2  
診療科3  
診療科4  
プロトコール名 略名 1クールの日数
乳癌 アテゾリズマブ+nabパクリタキセル併用療法 28日
適応病名 PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌 所要時間 100分  
実施部署 ■外来   ■病棟    放射線療法 なし  
適応分類 ■進行・再発
適応時表示コメント あり 添付資料 なし
番号 抗癌剤名・略号 1日投与量 投与法 投与日(d1,d8等)
1 アテゾリズマブ 840mg div d1,15
2 nabパクリタキセル 100mg/m2 div d1,8,15
臨床使用分類 治療:(エビデンスレベル・2    エビデンスに関する基準
エビデンス
  • ■文献   
ガイドライン文献名 N Engl J Med. 2018 Nov 29;379(22):2108-2121
その他
(減量・増量規定など)
アテゾリズマブ
初回投与の忍容性が良好であれば、 2 回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
副作用の発現に対しては、添付文書に記載された基準を目安に休薬等を考慮する。

アブラキサン
副作用の発現に対しては、添付文書に記載された基準を目安に休薬、減量を考慮する。
1段階減量は75mg/m2、2段階減量は50mg/m2とする。
1クールの日数:28日癌化学療法処方
癌化学療法名:乳癌 アテゾリズマブ+nabパクリタキセル併用療法
投与日 薬品名 投与経路
(ルート等)
投与時間
Day 1, 15 ①生理食塩水50mL div -
    プライミング用    
  アテゾリズマブ840mg+生理食塩水250mL div 60分
    初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降30分で投与可    
    0.2又は0.22μmのインファインフィルター使用    
  ③生理食塩水50mL div 5分
    フラッシュ    
    ライン交換 要    
  nabパクリタキセル100mg/m2+生理食塩水20mL/m2 div 30分
    インラインフィルター使用不可    
    最終濃度は5mg/mL    
    空の生食100mLボトルに入れて払い出し    
  ⑤生理食塩水50mL div 5分
    フラッシュ    
Day 8 ①生理食塩水50mL div -
    プライミング用    
  nabパクリタキセル100mg/m2+生理食塩水20mL/m2 div 30分
    インラインフィルター使用不可    
    最終濃度は5mg/mL    
    空の生食100mLボトルに入れて払い出し    
  ③生理食塩水50mL div 5分
    フラッシュ    

※赤字は抗癌剤

コメント

免疫チェックポイント阻害剤にステロイドを併用することで治療効果が減弱する可能性があるため、制吐剤としてステロイドを使用しない。

照射併用時照射線量

 

病名項目に戻る