緩和ケアセンター

緩和ケアセンター長挨拶


緩和ケアセンター長
井上 彰
2007年4月に施行された「がん対策基本法」において、緩和医療は「全てのがん患者さんとご家族の苦痛を軽減し、患者さんの療養生活の質を向上させる」ことを目的とする、放射線療法や化学療法と並ぶがん治療の大きな柱として示されています。重要な点は、緩和医療は従来考えられていたような「終末期」に限った治療ではなく、「より良く生きる」ことを目指して、がんと診断された早期から行うべき治療であると明記されていることです。がん患者さんが抱える苦痛は、痛みや吐き気などの身体的苦痛だけでなく、精神的苦痛や社会的苦痛、さらには霊的苦痛(スピリチュアルペイン)と多岐にわたりますが、それらを少しでも軽減するために緩和医療科では、精神科や腫瘍内科、リハビリテーション科、などの他科医師や、認定・専門看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカー、臨床心理士、などの各種医療スタッフと連携し「全人的なケア」を行います。

 当院では2000年から国公立の大学病院としては全国に先駆けて緩和ケア病棟が稼働しましたが、2015年半ばには都道府県がん診療連携拠点病院としての役割を果たすべく、以下の3つの機能を複合した「緩和ケアセンター」が開設されました。

すなわち、外来通院中のがん患者さんが抱える様々な苦痛を広くスクリーニングし、迅速な対応が必要な症状や悩みをお持ちの患者さんについては、認定・専門看護師による「がん看護外来」、医師による「緩和ケア外来」で対応します。 また、入院中の患者さんの苦痛に関しては、複数の専門家で構成される「サポーティブケアチーム」が往診し、適切な治療方針について担当医と密に連携して速やかな症状緩和を目指します。そして、病状が進んで通院治療やご自宅での療養が困難になったがん患者さんについては、当科医師との面談を経たうえで「緩和ケア病棟」へご入棟いただき、患者さん・ご家族が心身ともに穏やかな療養生活を送れるよう熟練した専門医師と看護師が最善を尽くします。

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