がんに関するQ&A

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がんに関するQ&A > 切らずに治す放射線治療について > がん薬物療法(抗がん剤治療)について

切らずに治す放射線治療について

Q.1. 放射線治療って何ですか?
A.1.
がんの治療には手術、放射線治療、抗がん剤治療がありますが、局所の治療で特に重要なのは手術と放射線治療です。放射線治療は、身体の表面や内部にあるがんや一部の良性疾患の治療に用いられます。放射線をあてても、患者さんは痛みを感じることは無く、手術の様に麻酔をかける必要もありません。治療後も臓器の機能・形が維持される為、患者さんの身体への負担も少なくすることが可能であり、日常生活に近い状態で過ごすことが出来ます。 放射線が、がん治療の手段として使われ始めておよそ100年が経ちます。今までは、手術による治療の方が治る確率が高く、放射線治療は補助的に使われていたのですが、放射線治療機器、放射線生物学やコンピューターが発展し、放射線治療の技術もそれに伴って急速に進歩して来ました。その結果、病気を治せる可能性が高くなり、しかも副作用の少ない放射線治療が実現し、手術に匹敵する治療成績が出せる様になって来ています。
Q.2. なぜ放射線治療でがんが治るのですか?
A.2.
放射線には、細胞の遺伝子に作用して、細胞が増殖する能力を抑える作用があります。放射線はがん細胞だけでなく正常な細胞にも同じ働きをしますが、正常細胞はがん細胞よりも障害の程度が軽く、放射線照射前の状態に回復する力がやや高い様です。この回復の差は、放射線を毎日少しずつかけることにより更に大きくなります。その為、放射線をかけて暫くすると、がん細胞は死滅し、正常細胞が生き残ります。放射線治療は、この一連の反応を利用した治療です。
Q.3. 手術療法との違いは何ですか?
A.3.
メスなどを使って行う手術と異なり、身体に傷を付けることなく治療が可能です。放射線をあてても、患者さんは痛みを感じることは無く、手術の様に麻酔をかける必要もありません。治療後も臓器の機能・形が維持されることが多い為、患者さんの身体への負担も少なくすることが可能であり、日常生活に近い状態で過ごすことが出来ます。
Q.4. 治療に用いられる放射線について教えて下さい。
A.4.
放射線とは、一般に物質と作用して電離を起こす電離放射線を示します。放射線には、波長が一定以下の電磁波(X線やガンマ線)と、高速の粒子の流れである粒子線(電子線、陽子線、炭素線、アルファ線等)に分類されます。一般の放射線治療で使われるのは、X線、電子線です。これらの放射線は目に見えず、体に当たっても熱くも痛くもありません。
Q.5. どの様に治療するのですか?
A.5.
放射線治療医の診察を受けて頂き、放射線治療の適応と判断された場合、治療計画が予定されます。治療計画では、1) どこに放射線をかけるのか、2) 放射線治療の回数と方法をどうするのか、等が検討されます。治療計画を経た後、通常何回かに分けて、放射線治療を受けて頂くことになります。 放射線治療を行う機械をリニアック装置と言います。これは、電子を加速してX線、電子線をとり出す直線加速器です(図1)。照射口(放射線の出口)には、図2の様なマルチリーフコリメーター(多分割コリメーター)が付いており、患部の複雑な形状に合わせて、放射線を当てる範囲を正確に設定することが出来ます。放射線は、数方向から患部に向けて集中する様に照射されます(図3)。リニアック装置の寝台に寝て頂き、治療を行います。放射線がきちんと患部に当てられているかを確認する装置により、正確に照射することが出来ます。実際に放射線が当たっている時間は数分間です。治療室に入ってから出るまで、通常10分程度で終了します。
図1. リニアック装置

図1. リニアック装置

図2. マルチリーフコリメーター

図2. マルチリーフコリメーター

図3. 3次元形状でとらえたターゲット(標的)へ高精度に効果的な線量を照射する(治療計画写真)

図3. 3次元形状でとらえたターゲット(標的)へ高精度に効果的な線量を照射する(治療計画写真)

Q.6. 放射線治療で治った実例を見せて頂けますか?
A6-1.
上咽頭癌の放射線治療前のMRI画像です(図4)。治療計画で検討された放射線の線量分布図です(図5)。放射線治療が終わった後の写真(図6)。病気が治っていることが分かります。
図4. 上咽頭癌放射線治療前の写真 矢印の白くべたっとした部分が病気の場所です。

図4. 上咽頭癌放射線治療前の写真
-矢印の白くべたっとした部分が病気の場所です。-

図5. 線量分布図です。病気の個所に橙色や赤色の配色がみられます。病気に放射線が集中している様子を示しています。

図5. 線量分布図です。病気の個所に橙色や赤色の配色がみられます。病気に放射線が集中している様子を示しています。

図6. 上咽頭癌放射線治療後です。病気のあった矢印の個所がきれいに治っています。

図6. 上咽頭癌放射線治療後です。病気のあった矢印の個所がきれいに治っています。

A6-2.
肺癌の放射線治療前のCT画像です(図7.)。治療計画で検討された放射線の線量分布図です(図8)。放射線治療が終わった後の写真(図9.)。病気が治っていることが分かります。
図7. 肺癌の放射線治療前のCT画像です。矢印の個所に円形の病気がみえます。

図7. 肺癌の放射線治療前のCT画像です。矢印の個所に円形の病気がみえます。

図8. 線量分布図です。病気の個所に橙色や赤色の配色がみられます。病気に放射線が集中している様子を示しています

図8. 線量分布図です。病気の個所に橙色や赤色の配色がみられます。病気に放射線が集中している様子を示しています。

図9. 放射線治療後です。病気が小さくなり、濃度も淡くなっています。

図9. 放射線治療後です。病気が小さくなり、濃度も淡くなっています。

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宮城県内の放射線治療可能な施設と放射線腫瘍医


●東北大学病院 放射線治療科ホームページ
http://www.radiol.med.tohoku.ac.jp/chiryo/hospital.html

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